縄文の人口減、ゲノムで裏付け=現代人のY染色体解析

時事ドットコムニュース 6/17記事より

 

東京大の研究チームは、現代の日本人男性のY染色体の解析から、約2500年前の縄文時代後期-弥生時代に人口が急減していたことを突き止めた。縄文後期の人口減は遺跡の発掘などで推定されてきたが、遺伝子解析からも裏付けられた形だ。論文は17日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

 

 東京大の大橋順准教授らは、日本人男性345人のY染色体の全塩基配列を調べ、どのような変異があるかを解析した。Y染色体は組み換えを受けず、父親から息子へ受け継がれるため、変異をもとに系統を調べることができる。
 その結果、日本人のY染色体は七つの系統に分かれ、約35%いた「系統1」は、韓国人や中国人などほかの東アジア人にはほとんどいなかった。現在の日本人は縄文人と大陸からの渡来系弥生人の混血と考えられており、系統1のY染色体縄文人由来と分かった。
 さらに、系統1を持つ122人のY染色体を対象に、共通祖先をさかのぼる遺伝子系図解析を行ったところ、約2500年前の縄文時代後期から弥生時代にかけて、男性の人口が3分の1程度に急減していたことが判明。この時期、世界的に気候が寒冷化しており、食料供給の減少が人口減につながった可能性があるという。

https://www.nature.com/articles/s41598-019-44473-z